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2つのケーススタディから考える 英国留学に求められる英語力とは?——英語初級者の学校選び

2026.10.02

エッセイ

執筆:ケイト・ケネンティ(ピッパズ・ガーディアンズ スクール・アドバイス・サービス マネージャー)

 

 

2つのケーススタディから考える、一人ひとりに合った学校選び

 

「イギリスのボーディングスクールに留学するには、かなり高い英語力が必要なのでは?」

 

これは、英国留学を検討するご家族から、私たちが最もよく聞かれる質問のひとつです。結論から言えば、留学を始める時点で、必ずしも完璧な英語力が必要なわけではありません。インターナショナルスクールに通い英語を日常的に使っているお子さんばかりではありません。日本の公立の小学校に通っており英語を集中的に学んだことのない小学生もいれば、小学校では中学受験の勉強を優先していたために英語はまだまだという中学生もいます。

 

そんな中から、今回はピッパズ・ガーディアンズのスクール・アドバイス・サービスがサポートした今回は英国留学に求められる英語力と広がる選択肢について2つの実例をご紹介しながら、最近の状況についてお話したいと思います。

 


@St Swithuns School

ケーススタディ1:音楽の才能を生かし、プレップスクールを経て希望のシニアスクールへ

 

日本の中学1年生に相当する学年に在籍していた女子生徒から、最初に相談を受けたのは、クリスマス頃でした。

 

学習意欲が高く、楽器に優れた才能を持ち、音楽への強い情熱がありました。一方、英語力はまだ初級レベルで、そのままイギリスのシニアスクールに進学すると、授業だけでなく、友人関係や寮生活でも大きな負担がかかる可能性がありました。

 

彼女の目標は、2028年に希望する英国のシニアスクールに進学すること。

 

そこで私たちが提案したのは、最初からシニアスクールを目指すのではなく、まずYear 8でプレップスクールに入学するという進路でした。

 

英語力を育みながら、次の進学に備える

 

プレップスクールには、留学生へのEALサポートが充実している学校があります。また、シニアスクールに進学する前に、英国の授業形式や学校文化、寮生活に慣れる時間を確保できることも、大きなメリットです。

 

彼女にとって大切だったのは、英語力を向上させながら、得意な音楽にも引き続き取り組み、2028年の進学に向けた準備を進めることでした。私たちは学校との入学交渉において、現在の英語力だけでなく、彼女の学力や楽器の才能、学習意欲、将来の目標についても丁寧に説明しました。

 

その結果、彼女に適したプレップスクールから入学許可を得るとともに、2028年には希望するシニアスクールへ進学できるという確約も得ることができました。今回のポイントは、現在の英語力だけで進学先を限定せず、長期的な目標から逆算して留学プランを立てたことです。目先の入学先を見つけるだけではなく、本人の才能や可能性を伸ばしながら、希望するシニアスクールへの進学を実現する。そのために、プレップスクールを経由するという選択が有効でした。


@Bromsgrove School

ケーススタディ2:入学希望までわずか3か月。柔軟な教育プログラムを持つ学校との出会いが留学を成功に導く

 

2人目は、2026年1月にスクール・アドバイス・サービスへご相談いただいた女子生徒です。

 

ご家族の希望は、同年4月からイギリスの学校にYear 10として入学すること。しかし、本人の英語力はまだ初級レベルで、入学までの期間も非常に限られていました。Year 10は、通常、2年間のGCSE課程が始まる学年です。この時期から英国のカリキュラムに参加するには、授業についていくための英語力が重要になります。加えて、4月はイギリスの学校では年度途中にあたります。そのため、受け入れ可能な学校は限られ、学校選びは簡単ではありませんでした。

 

決め手は、EALと柔軟なカリキュラム

 

私たちが重視したのは、EALが非常に充実していることに加えて、生徒一人ひとりの状況に合わせた教育プログラムを提供できる学校であることでした。そして、彼女は2026年4月に、希望どおり英国の学校への入学を果たしました。

 

入学後は英語力が大きく向上し、学校生活にも非常によくなじんでいます。その成長を支えているのが、学校による柔軟できめ細かなサポートです。当初、学校側では、英語力や学習面を考慮して1学年下のクラスで学び直すことも検討されていました。確かに、学習時間を十分に確保できるというメリットはあります。しかし、それでは同年代の友人と離れてしまうことになります。

 

そこで学校は、本人の社会性や友人関係も大切にしながら、個別の教育プログラムを作成することにしました。同じ学年の友人たちと一緒に学校生活を送りながら、英語力に応じて学習ペースを調整し、必要な科目では追加サポートを受けられるようにしたのです。その結果、彼女は学年を下げることなく、英語力の向上、学習面での成長、そして友人関係の構築を両立しています。

 

この事例が教えてくれるのは、EALの充実度だけでなく、生徒の状況に応じてカリキュラムを柔軟に調整できる学校を選ぶことの重要性です。

 

英語力が十分でないからといって、必ずしも進学を延期したり、学年を下げたりする必要があるわけではありません。学校の理解と適切なサポートがあれば、同年代の友人たちとともに成長できる可能性があります。

 


大切なのは、現在の英語力だけで留学の可能性を判断しないこと

 

今回ご紹介した2人は、どちらも留学を検討し始めた時点では、英語力が大きな課題でした。しかし、それぞれが必要としていたサポートは異なります。

 

1人目の生徒には、プレップスクールを経由して語学力と英国での生活基盤を育み、希望するシニアスクールへの進学につなげる長期的なプランが適していました。

 

には、年度途中からの入学を受け入れ、学年を下げることなく本人に合わせた教育プログラムを提供できる学校が必要でした。

 

英国のボーディングスクールには、留学生への英語教育に力を入れている学校や、生徒の才能、学力、学習意欲などを総合的に評価する学校があります。

 

英国留学を考えるとき、大切なのは「英語ができるか、できないか」だけではありません。実際に求められる英語力は、子どもの年齢や入学する学年、履修するカリキュラム、そして学校によって大きく異なります。英語力がまだ十分でなくても、EAL(英語を母語としない生徒への英語教育)が充実し、留学生の指導経験が豊富な学校であれば、大きく伸びる可能性があります。一方、アカデミックレベルの高い学校でも、語学サポートが限られていれば、その子にとって最適な環境とは限りません。

 

また入学審査では、英語試験のスコアだけでなく、学力や学習意欲、自信、授業に参加する姿勢、そして今後の成長の可能性まで含めて評価する学校もあります。重要なのは、今の英語力でどこに入れるかではなく、その子がこれからどこで最も伸びることができるか。英語力だけを理由に英国留学を諦めたり、「もっと英語ができるようになるまで」と何年も待ったりする必要があるとは限りません。

 

年齢、現在の英語力、学力、性格、将来の進路を踏まえて、適切なタイミングと適切な学校を選ぶこと。それが、英国留学を成功させる重要なポイントです。

 


執筆:ケイト・ケネンティ(ピッパズ・ガーディアンズ スクール・アドバイス・サービス マネージャー)