息子の英国留学は、日本で経験した一つの挫折から始まりました。息子が日本の高校生活で最も力を注いでいたのは、テニス部での活動でした。しかし、残念ながら思い描いていたような部活動生活を送ることができず、高校2年生で退部することになりました。大きな目標を失った息子を前に、残りの高校生活をどのように過ごすのがよいのか、家族で何度も話し合いました。
その中で浮かんだ選択肢の一つが、海外留学でした。とはいえ、当時の私たち家族にとって、英国留学はまだ漠然としたものでした。まずは話を聞いてみようと、初めてピッパズ・ガーディアンズ主催の留学フェアに参加しました。
会場を歩いていた息子の目に、テニスをしている生徒の姿が大きく映し出されたバナーが飛び込んできました。自然とその学校のブースに足が向き、そこに座っていた一人の男性からお話を伺うことになりました。その学校が、イングランド東部サフォーク州にあるCulford Schoolであり、その男性はCulford Schoolの副学長、Dave先生でした。
息子はDave先生から、学校の教育方針や寄宿生活について直接説明を受けました。中でも強く心を引かれたのは、充実した設備の下でテニスに打ち込める環境、優秀なコーチ陣、そして同校のテニスクラブから数多くの優れた選手が育っているというお話でした。話を聞き終えると、息子はほとんど迷うことなく「この学校に留学する」と決断しました。
今振り返れば、あの日の偶然の出会いは、息子の人生を大きく動かす、まさに素晴らしい邂逅であったと思います。
Culford Schoolへ入学した息子は、私たちの心配をよそに、すぐに学校生活になじむことができました。素晴らしいクラスメイトや寮で生活する各国からの留学生、そしてテニスクラブの仲間たちに囲まれ、充実した毎日を送っていることが、遠く離れた日本にいる私たちにも伝わってきました。というのも、本人から私たちにほとんど連絡がなく、それこそが新しい生活を心から楽しんでいる何よりの証拠でした。
英語が十分に身についていない時期でも、テニスという息子の特技が、国籍や言葉の壁を越えて仲間とつながるためのコミュニケーションツールになったのだと思います。日本ではつらい経験のきっかけにもなったテニスが、英国では息子の居場所をつくり、新しい世界を広げてくれました。
当初、留学期間は1年間の予定でした。日本では、内部進学で大学へ進むことのできる私立高校を休学しての留学でしたので、1年後には帰国し、元の高校へ戻るものと考えていました。ところが、2学期に当たるSpring Termが終わる頃、息子から思いもよらない言葉がありました。
「この1年間で日本に戻るのはもったいない。留学をもう1年延長して、イギリスの大学に進学したい」
私たち夫婦は大変驚きました。日本の高校を退学して、本当に英国の大学へ進学できるのか。英語で大学受験をして、大学進学に必要な成績を収めることができるのか。親として、さまざまな不安が頭をよぎりました。
一方で、自分の将来について真剣に考え、自ら進む道を決め、その希望をはっきりと私たちに伝えた息子の姿に、大きな成長を感じました。この決断を尊重し、背中を押すことが親の役割ではないかと考え、私たちは日本の高校を退学させ、2年目の英国留学に挑戦させることを決めました。
英国の大学進学を目指して留学を延長することをピッパズ・ガーディアンズとCulford Schoolへ伝えると、両者からさまざまな面で手厚いサポートをいただきました。
特に、私たちには英国の大学進学制度やAレベル受験に全く知識がなかったので、学校には息子を個別に指導するTutorをつけていただき息子の成績や学習状況を確認するParents’ Meetingには、ピッパズ・ガーディアンズで息子を担当するエリアマネージャーの方にも同席いただき、学校側の説明を踏まえて、克服すべき課題や今後必要となる対応を整理してくださいました。
遠く離れた英国で、息子がどのような状況にあり、何をすべきなのかを的確に伝えていただけたことは、英国の教育制度に不案内な私たちにとって大きな安心でした。留学先の紹介や入学手続きだけではなく、その後の学校生活、学習面、進路選択まで継続して寄り添ってくださったことに、深く感謝しています。
大学進学に向けた勉強は、決して容易なものではありませんでした。息子自身も大変な思いをしながら受験勉強に取り組みましたが、最後までテニスクラブでの活動も諦めず、勉強とテニスを両立させました。その結果、志望する大学からOfferをいただき、最終試験でも必要な結果を残し、英国の大学への進学を実現することができました。
大学合格という結果はもちろん喜ばしいことです。しかし、親としてそれ以上にうれしく思うのは、息子が自分で将来を考え、自分の意思で進路を決断し、その実現に向けて努力を重ね、自らの手で未来を切り開いたことです。この経験と、そこから得た自信は、これからの人生における何より大きな財産になると思います。以前よりもたくましくなった息子の姿を、今はとても頼もしく感じています。
日本での挫折から始まった英国留学でしたが、あの時、ピッパズ・ガーディアンズの留学フェアに参加し、Culford Schoolと出会っていなければ、今の息子の姿はありません。
留学先の紹介と選定、出願や入学の手続き、現地でのGuardianとしての見守り、そして英国の大学進学に至るまで、長期間にわたり息子と私たち家族を支えてくださったピッパズ・ガーディアンズの皆さまに、心より感謝申し上げます。