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イギリスでの国際バカロレア・ディプロマプログラムについて

2025.02.10

基本情報

国際バカロレア(International Baccalaureate)、略して「IB」は国際バカロレア機構が展開する教育カリキュラムの1つです。日本で導入校が増えていることもあり、国際バカロレアに関しては、すでに詳しい説明がされていますが、ここではイギリスでの発展と現状について記します。

 

国際バカロレアのカリキュラムについて

国際バカロレアのカリキュラムは3つのプログラムから構成されています

 

3-12 歳 初等教育プログラム PYP; Primary Years Program

11-16 歳 中等教育ログラム MYP; Middle Years Program

16-19 歳 ディプロマ・プログラム DP; Diploma Program

 

イギリスではナショナルカリキュラムのGCSEが普及していることから、MYPを導入している学校は全国で11校しかありません。一方で、DPを導入している学校は全英で67校(2025年1月現在)あります。

その歴史は古く、1979年にケント州にあるボーディングスクール、セブノークス・スクールがイギリスで初めて国際バカロレア・ディプロマプログラム(IBDP)を取り入れました。以来45年が過ぎますが、その数は大きく伸びています。

 

セブノークス・スクール

イギリスで最初にIBDPを導入したセブノークス・スクール

 

国際バカロレアのディプロマプログラムについて

国際バカロレア(IB)の中でも、イギリスのシニアスクールで取り入れる学校が増えている「ディプロマプログラム(DP)」はどのようなプログラムでしょうか?

日本では大学受験勉強の際に理系・文系に学習コースが分かれるのが一般的ですが、IB にその概念はありません。IBDPを学ぶ生徒は大学で何を学ぶかにかかわらず必修6科目のグループ1〜6 の中から、各1 科目を選ぶ必要があります。

 

グループ1

言語と文学(母国語)

 

グループ2

言語習得(外国語)

 

グループ3

個人と社会

 

グループ4

理科

 

グループ5

数学

 

グループ6

芸術

 

その6 科目のうち3 科目(あるいは4 科目)は上級レベル(HL, Higher Level )で履修し、それ以外の科目は標準レベル(SL, Standard Level)で履修することが求められます。

加えてコア科目の小論文(Extended Essay : EE)を提出し、知の理論(Theory of Knowledge : TOK)のコースを取り、創造性・活動・奉仕 ・活動(Creaitivity Activites, Service )に参加し、これら要件を満たして、ディプロマ資格を得ることができます。

 

2 年間で上級レベルは各科目240 時間、標準レベルでは各150 時間学びます。課題をこなし、プロジェクトや実験レポートに取り組むこれらの日々の学習の成果が個人の口述評価となり、全体の評価の25%を占めます。

 

残り70~80%の評価を決める世界共通の統一試験は、5 月または11月に実施されます。その内容は、筆記試験、エッセイ、選択式問題、データベースによる質問など。美術ではポートフォリオ、音楽では演奏録音などの提出が課され、言語試験では会話の流暢さなども考慮されます。

さらに詳しい説明は国際バカロレア機構のHPをご確認ください。

 

評価方法について

評価の結果はすべて「正当性」「信頼性」「公明性」の観点から、最終的に7段階で評価されます。6 科目には各7 点が配点され、合計が42 点。小論文と知の理論は最大3 点与えられます。極端に出来の悪い科目があってはならず、全科目合計24 点以上で合格となり国際バカロレアのディプロマを取得できます。合格率は約80%、ちなみに40 点以上の高得点は世界全体の2.1%、45 点の満点取得者は0.3%となっていることから、いかに高得点を取ることが難しいかがわかります。

 

ラグビー・スクール

AレベルとIBDPから選択できるラグビー・スクール

 

英国での国際バカロレア・ディプロマプログラム(IBDP)の普及について

イギリスの大学受験の中央機関であるUCAS(The Universities and Colleges Admissions Service)がIBDPと英国の統一検定試験であるAレベルの点数の統一的な換算をし、各大学は入学オファー等を行う際に目安として活用しています。

 

イギリスの大学受験においてIBDPはAレベルと差異なく適用されており、またIBDPでは幅広く学ぶことのメリットがあることから、イギリスのボーディングスクールではIBDPを取り入れる学校が増えています。

 

現在、全英のボーディングスクールの中で、生徒全員がIBDPの履修をする学校はセブノークス・スクールのみですが、入学後にAレベルと国際バカロレア・ディプロマプログラムから選択できる学校も存在します。ブリティッシュ・ボーディングスクール・フェア参加校の中から5校を下記に挙げます。

 

チャーターハウス・スクール

チェルトナム・レディス・カレッジ

マルバーン・カレッジ

ラグビー・スクール

セントエドワード・スクール

 

チャーターハウス・スクール、チェルトナム・レディス・カレッジ、マルバーン・カレッジ、ラグビー・スクールは「ブリティッシュ・ボーディングスクール・フェア 2024年」の参加校となり、「セント・エドワード・スクール」はブリティッシュ・ボーディングスクール・フェア March 2025」の参加校となります。

 

イギリスでIBDPを学ぶメリット

一般的にイギリスのIBDP導入校では、多くの選択科目が用意されています。生徒の学びたい科目がより見つかりやすい環境が整っています。例えばチャーターハウス・スクールで用意しているIBDPの科目は下記のようになります(2024年6月)。

 

English. Mandarin, German, Italian, French, Spanish, Latin, Economics, Geography, Global Politics, History, Philosophy, Biology, Physics, Environmental System and Societies, Sports Exercise & Health, Mathematics, Visual Arts, Business Management, Chemistry, Economics, History, Psychology

 

ラグビー・スクールで用意しているIBDPの科目はHigherとStandardを合わせて下記のようになります(2024年6月)。

English Literature, German Literature, Literature and Performance, Mandarin Language and Literature, Classical Greek, Latin, Ab Initio Languages: German, Italian, Mandarin, Spanish, Economics, Geography, History, Philosophy, Global Politics, Psychology, Environmental Systems and Societies, Computer Science ,Design Technology, Biology, Chemistry, Physics, Sports, Exercise and Health Science, Mathematics, Visual Art, Music, Theatre

 

イギリス国外の大学受験での活用

アメリカではIBDPに加え、SATでの成績表を求める難関大学もあります。しかし大学側からみてもIBDPの高得点者はアカデミックスキルが高いと認識されることが多いと一般的に言われています。

一方日本国内に目を向けてみると、2023年に国内で国際バカロレア・ディプロマプログラムを取得できる学校は69校となりました。大学受験でのIBDPの活用は進んでおり、私立大学のみならず、国立大学でもIBDPで受験が可能です。

ボーディングスクールに在籍しているアジア出身の生徒の中には、国際バカロレアのディプロマを取得し、出身国の大学に進学するケースや、欧州や中東など世界各国を目指すケースなどが見受けられます。グローバルな大学進学を検討する生徒にとって、相応しいカリキュラムとなっています。